学研の真空管ラジオキット

全体の様子は、http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/vol18.html

回路図とQ&Aは、http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/ques18.html

2006年3月24日 1万台限定販売 \8,800 (予約価格 \7,900 送料込み)
学研ショップでは数日で売り切れて、市中在庫を探すしか手が無くなりました。
006P電池を5本使う関係で、各地の100円ショップから電池が売り切れている様です。
組み上げて見ましたが、006P電池を入れるカバーが取り付けにくい!
凄く硬くて大変ですが、逆に硬くないと電池ががたついてしまうのかな?
アンテナ部分の組立時、枠の接合部分が外れる事があるので瞬間接着剤を隙間に流し込んで固定しています。
これでリッツ線をしっかりと張る事が出来ます。

 
バリコンは両側の2枚のアルミ板の距離を変える事で、容量を変化させている。
構造が面白いですね。 容量を測定してみました。

容量最小値 約7PF / D=0.00398 100KHzにおいて

容量最大値 約425PF / D=0.00104 100KHzにおいて

同様に、アンテナ・コイルの測定をしてみました。 
G1アンテナ側:226.17μH / Q=39.12  再生側:5.23μH / Q=7.32でした。 測定周波数:100KHzにおいて 
1MHzでは、G1アンテナ側:248.9μH / Q=202  再生側:5.09μH / Q=50.9でした。

受信周波数が中波なので、この値を使うのが妥当だと思います。


アンリツ MG3601AでAM 30%変調を乗せて受信測定の範囲を測定してみました。
最低受信周波数は約530KHz 最高1600KHz程度でした。
最低周波数は低い方になると再生がうまく掛からないのが影響しているのかも。

このキットは小学生でも簡単に組み立てられる様になっているので、抵抗やコンデンサの値は回路図に記載されています。
しかし、アンテナ・コイルのインダクタンスや出力トランスのインピーダンス等は当然ながら記載されていません。
ついでに出力トランスのインピーダンスを測定してみました。
2次側負荷に16Ω抵抗を接続し、1次側の周波数を変化させた時のインピーダンスです。
LCZメーターを使用し、1次側の端子間電圧は0.5Vです。
端子間電圧の差により、実際の動作インピーダンスとは若干の差があると思われます。
100Hz - 8.0KHzまでしか測定していませんが、それ以上のデータを取っても小さなスピーカーからは聞こえて来ないかも?
備考:学研のホームページ(実験についてご質問)
http://shop.gakken.co.jp/otonanokagaku/ques18.html では、
音質を良くするには5KΩ:8Ω位で積厚の大きなトランスと交換してみてください。 と、記載されています。

Hz

Hz

Hz

Hz

100

0.934

2100

6.714

4100

4.491

6100

2.938

200

1.537

2200

6.700

4200

4.384

6200

2.886

300

2.062

2300

6.666

4300

4.281

6300

2.836

400

2.534

2400

6.603

4400

4.178

6400

2.788

500

2.970

2500

6.515

4500

4.080

6500

2.741

600

3.376

2600

6.411

4600

3.987

6600

2.695

700

3.761

2700

6.301

4700

3.897

6700

2.652

800

4.124

2800

6.177

4800

3.810

6800

2.609

900

4.467

2900

6.046

4900

3.727

6900

2.568

1000

4.795

3000

5.912

5000

3.647

7000

2.528

1100

5.104

3100

5.774

5100

3.571

7100

2.489

1200

5.375

3200

5.635

5200

3.496

7200

2.452

1300

5.646

3300

5.502

5300

3.424

7300

2.416

1400

5.891

3400

5.362

5400

3.355

7400

2.380

1500

6.107

3500

5.228

5500

3.289

7500

2.346

1600

6.292

3600

5.094

5600

3.225

7600

2.312

1700

6.444

3700

4.967

5700

3.164

7700

2.279

1800

6.563

3800

4.841

5800

3.104

7800

2.248

1900

6.647

3900

4.720

5900

3.047

7900

2.217

2000

6.682

4000

4.604

6000

2.991

8000

2.187



測定している様子 NF回路設計ブロック 2340 LCZメーターを使用

使用感:クリスタル・イヤホンを使う場合は、音声増幅用回路を切り離して電池の消耗を少なくする工夫をしています。
クリスタル・イヤホンの替わりにロシア製のマグネチック・レシーバーを使ってみました。
ロシア製レシーバーは造りが少々雑で、耳に当たる部分が今ひとつで長時間使用すると耳が痛くなります。
しかし、音も悪くないし両耳で聴けるので便利です。
付属しているクリスタル・イヤホンよりも音量が大きく聞き易いです。
都内文京区のビル内でもTBS/文化放送が、がんがん鳴ります。 ニッポン放送は音は小さめだけど聞こえます。

このキットは、再生式なのでボリュームを回していくとピーという音がして発振状態になります。
近くにラジオがあれば、ビート音が聞こえるので分かると思います。
ラッパの中に(アンテナのほぼ中央部 )AMラジオのバー・アンテナをセンサーとして仕込み、その時の様子をスペアナで
観察しました。
回路をすこしいじれば、ワイアレス・マイクになるかも分かりませんね。

 センサーのAMラジオ用バー・アンテナ
簡易的な物なので、バー・アンテナにケーブルを接続しただけの物です。 プラスチックの筒の中に収めています。

 観測している様子

HP 8561Bスペアナを使用し、同一条件で測定しました。 
右端が500KHz 左端が1.5MHzなので、横のマス目は100KHz間隔です。
発振状態のスペクトラムを見る為なので、最大電力を得られる位置にセンサーを置いている訳ではありません。
TBS( 954KHz )を受信しようとしています。


正常に受信している時のスペクトラム( 再生が掛かり始める位の状態です )


発振状態の時のスペクトラム・・近くのラジオからビート音が出ています。

少しだけ改良を・・・ここからは、現在進行形なので徐々に継ぎ足します。
改造してオリジナルから大きくずれてしまうのもどうかと思うので、少しだけ使いやすい様に改良するだけに
しています。 スペアのパーツ入手を考えるとあまり無茶は出来ません。

1,音量調整用ボリュームを取り付けようと思います。
放送局によっては、かなり大きな音が出るのでボリュームがあった方が便利です。

2,外部電源の製作  
006P電池を5本使っているので、長く愛用する人は外部電源を用意するのではないでしょうか?
内部に組み込むのもそれほど難しくは無いと思いますが、ケースの代替が無いので外付けにした方が気楽に製作できます。
1.5V電池 006P/9V電池5本を使用していますが、実際の電流を計っておかないと電源は作れません。

1.5V電池:1.5Vにおいて 約 130mA  1.2Vにおいて 約 110mA
45V側:45Vにおいて 約 5.45mA
備考:45V側は、ラジオ工房さんの掲示板に田中さんが実験された値を参考にさせて頂きました。

目標とする電源の仕様は・・
入力:AC100V 出力:DC1.2V / 0.2A  DC45V / 5mA 各電圧は安定化
おまけ:デジタル・パネル・メーターで、各電圧および電流のモニターが出来る。

各電圧は安定化するのですが、たまたま見付けた超格安のLEDパネル・メーターでモニターする事にしました。
スイッチを切り替えて、フィラメント電流とプレート電流も計れる様にしています。
 シンキー製
199.9mVレンジと2Vレンジの2つ用意。
199.9mVレンジは、1.5V側の電流と分圧器の併用で電圧をモニターします。
2Vレンジは、45V側の電流と分圧器の併用で電圧をモニターします。
買ってきたケースに4分割のスペースがあったので4個のパネル・メーターを入れる予定でしたが、
残念な事にパネル・メーターが廉価版なので電源のGNDと入力のLOW側がアイソレートされていません。
今回のラジオではGNDを共通に出来ないので、2個使う場合はDC / DCコンバーターを2個使う必要があります。
4個使おうとすると、もう2つDC / DCコンバーターが必要になります。
そこまではさすがにバカらしいので、切り替えて使う事にしました。
余計なおまけを考えると、面倒なおまけも付いてきます。

1.2V / 0.2A 安定化基板 ナショナル・セミコンダクターの
LM317を使います。
最初はLCD表示のパネル・メーターを使用する予定だったので小さめのトランスで問題なかったのですが、LED表示の
パネル・メーターに変更した為に電流容量不足になりました。
仕方なくトランスを大きめの物に変更しました。
パネル・メーターの電源は、DC/DCコンバーターを介して整流直後のポイントから取っています。

45V / 5mA 安定化基板 ナショナル・セミコンダクターの
LM317HVT( 高電圧出力タイプ )を使います。
このトランスは無負荷時の整流電圧が57Vありました。 
18V X2なので、単純に36V X 1.4倍しても50.4Vです。
負荷を掛けた時の電圧低下を考慮していると思われます。
ケミコンの耐圧は最低でも63Vを使用して下さい。
5KΩを負荷に接続( 9mA )した時の電圧は、整流電圧が47.5V 45Vは安定になっています。
多めに電流を流しても安定でしたが、もう少し入力電圧に余裕があると精神衛生上良いかも分かりません。
45V以下になっても動作する様なので、あまり電圧がふらつく様ならもう少し電圧を下げようと思います。

 NS社 LM117HV.PDFより転載
回路は、ナショナル・セミコンダクター社 LM317のアプリケーション・ノートそのままで何の工夫もありません。
1.5V / 45Vともに同じ回路です。 45V側は、
LM317HVT( 高電圧出力タイプ )を使います。
但し、45V回路は上図の定数では電圧が上がりません。 R2を10KΩに変更して45Vに調整しました。
45V回路は負荷電流が少ないのでLM317HVYに放熱器を取り付けなくても問題ありません。

DC / DCコンバーター基板

分圧器・分流器 切り替え基板( 1.2V用と45V用 )

部品代は、何とか\5,000未満に収まりましたが・・・
仮に一月に2回電池交換をすると仮定すれば、電池代は月に\735( 単2\210、006P\525 )掛かります。
約7ヶ月で元が取れる計算になります。 単純な電源にすれば、もっともっと安く済むのですが・・

部 品 名

数 量

購 入 価 格

購 入 店

トランス 1次:100V 2次:18V X 2 25mA SEL

1

\460

千石電商

トランス 1次:100V 2次:5V X 2 0.2A SANSUI

1

\580

千石電商

ブリッジ・ダイオード 200V 1A

2

@\50

千石電商

ナショセミ LM317

1

\100

鈴商

アジア電子工業 DC/DCコンバーター 5V / 5V

2

@\700

鈴商

ケミコン

一式

\300

鈴商

放熱器

1

\50

鈴商

ナショセミ LM317HVT 高電圧用

1

\294

若松通商

シンキー製 デジタル・パネル・メーター

2

@\150

某店

ケース内部の部品

一式

約\500

配線材料・その他

一式

約\600

ケース

1

\105

ダイソー



 ケースの大きさ 225 X 125 X 80mm
大きめのケースにしたので工作は楽です。 しかも、安い!

完成した外観・・・・・完成しないまま、ちょうど良さそうなACアダプターを見付けてしまいました。


ACアダプターのラベル
出力電圧は、-48Vと6.9Vの2出力です。
電流の違いから、トランス巻線は2系統あると推定。
ヒーター回路とB電源は絶縁されているのが条件なので、2系統有るのは都合が良いです。
ただし、この時点では中身を確認できないのでアース回路がどうなっているかが心配でしたが・・・


中を開けようとすると、特殊なネジでドライバーを買うのもバカらしくてネジ穴をドリル刃で拡げて強引に開けました。
左右に回路が分かれた配置になっていて、アース回路はジャンパ線で接続してありました。
ジャンパ線を外して、それぞれ独立して使えそうです。
-48V出力は極性だけ変えて、そのまま電圧は変更しないで使えます。
問題は6.9Vの方ですが、都合が良い事にシャープのPQ30RV11と言う電圧可変型レギュレータICが使用されています。
最低設定電圧は1.5Vからなので1.8Vに設定し、シリコン・ダイオードを1本直列接続して1.2Vを得る事にしました。
電圧設定用の抵抗を変更し、出力コードを4芯の物に変更してケースに戻せば完成となります。



3,バリキャップ・ダイオードによる選局
ブック型バリコンの替わりに、選局をスイッチで出来るバリキャップ同調方式に。
45V電源を安定化したので、バリキャップに掛ける電圧もそこから取ればズレを生じません。

東光 KV1226の特性 HP 4285A LCRメーターで測定 信号レベル:20mV / 1MHz

印加電圧(V)

容量(PF)

Q

印加電圧(V)

容量(PF)

Q

0

863.7

171.9

20.0

26.7

1008

1.0

570.2

250.3

21.0

24.3

947

2.0

434.5

310

22.0

22.2

2100

3.0

346.2

367

23.0

20.4

1933

4.0

280.5

420

24.0

19.1

1792

5.0

228.7

630

25.0

18.2

1675

6.0

187.5

734

26.0

17.7

1601

7.0

155.1

855

27.0

17.3

1558

8.0

129.8

970

28.0

17.1

1538

9.0

109.8

1110

29.0

16.9

1503

10.0

93.6

1240

30.0

16.7

1467

11.0

80.4

1325

31.0

16.5

1402

12.0

69.5

1413

32.0

16.4

1380

13.0

60.4

1438

33.0

16.3

1394

14.0

52.8

1423

34.0

16.2

1372

15.0

46.5

1380

35.0

16.1

1357

16.0

41.1

1330

36.0

16.0

1312

17.0

36.6

1340

37.0

16.0

1352

18.0

32.8

1160

38.0

15.9

1328

19.0

29.5

1060

39.0

15.8

1340


実用域は、0 - 20Vまでの様です。
バリキャップ・ダイオード 測定の様子


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