同軸・変換アダプターの性能を比較してみました!
秋葉原の某社で売られている1個\300の廉価版同軸変換アダプターをヒロセ電機製と性能を比較してみました。
HP 8753Cネットワーク・アナライザーで、3MHz - 6GHzまでのVSWRを測定しました。

比較したのは、N型オス/ SMA型メスとN型メス/SMA型メスの変換アダプターです。
ヒロセ電機 HRM554S( Nオス/SMAメス)とHRM552S( Nメス/SMAメス)
廉価版 C-00106( Nオス/SMAメス)とC-00105( Nメス/SMAメス)
廉価版の性能は、ホームページには以下の様に記載されています。
RF変換コネクタ
◆SMAタイプ変換コネクタ
★誘電体テフロン
★ガスケットシリコン系
★50Ω系0〜12.4GHz
ただし、VSWRについては記載がありません。
さて、実際は12.4GHzまで使えるのでしょうか?
左側:廉価版アダプター   右側:ヒロセ電機製アダプター         
低VSWRの基準器 WILTRON 28K50( DC - 40GHz )

SMA側に低VSWRの基準器を取り付けて、N側をネットワーク・アナライザーに接続します。
( この画像はこんな状態で測定している画像例で、実際のデータには使用していません。)


1個\300の廉価版 Nオス/SMAメスの測定データです。
VSWR 1GHz/1.35068 2GHz/2.06960 3.5GHz/3.01251 6GHz/2.43933


ヒロセ電機 HRM554S Nオス/SMAメスの測定データです。
VSWR 1GHz/1.01492 2GHz/1.02294 3.5GHz/1.02708 6GHz/1.05420


1個\300の廉価版 Nメス/SMAメスの測定データです。
VSWR 1GHz/1.31886 2GHz/1.77965 3.5GHz/2.77710 6GHz/3.83874

ヒロセ電機 HRM552S Nメス/SMAメスの測定データです。
VSWR 1GHz/1.04041 2GHz/1.05920 3.5GHz/1.02983 6GHz/1.15204

同様に、SMA変換アダプターも比較してみました。
廉価版は、同じ店で1個\300でした。
測定方法は、N型コネクターと同じです。
性能についてはN型と同じ12.4GHzまでと記載されています。
但し、オス/オスについてはホームページには記載されていません。

左側:廉価版
右側:ヒロセ電機製 HRM501S HRM502S

 
低VSWRの基準器 WILTRON 28KF50( DC - 40GHz )


廉価版:C-00113 SMAメス / SMAメス 
VSWR 1GHz/1.03723 2GHz/1.07259 3.5GHz/1.11536 6GHz/1.18372


ヒロセ電機 HRM501S SMAメス/SMAメス
VSWR 1GHZ/1.01932 2GHz/1.03159 3.5GHz/1.04517 6GHz/1.01129


廉価版 SMAオス/SMAオス
VSWR 1GHz/1.26686 2GHz/1.54371 3.5GHz/1.80272 6GHz/1.71198


ヒロセ電機 HRM502S SMAオス/SMAオス
VSWR 1GHz/1.01119 2GHz/1.01212 3.5GHz/1.03515 6GHz/1.01605

オス/メスを接続して・・


廉価版Nオス/SMAメス と Nメス/SMAメスを接続して、SMAメス/SMAメスとした時の挿入損失データ
挿入損失:1GHz/1.69885dB 
2.38GHz/9.43685dB 4.56GHz/6.91076dB 6GHz/2.04193dB

廉価版Nオス/SMAメス と Nメス/SMAメスを接続して、SMAメス/SMAメスとした時のVSWRデータ
VSWR 1GHz/ 1.26901 2.32GHz/6.09551 
4.56GHz/40.9652 6GHz/4.3584
今まで見た事が無い様なデータです。

廉価版は、想像通り値段相応のVSWR特性でした。 
6GHzまでの測定で、これだけのVSWR値です。 
ホームページに記載してある12.4GHzまで使おうとするとVSWR値はどの位になるのでしょうか?
挿入損失もかなり大きい様です。
N型は実際に500MHz-1GHz未満の周波数で使う分には、あまり問題にならないかも分かりません。
Nコネクター、SMAコネクターだから高い周波数まで使えると言う妄信は捨てないと危険です。
物理的工作精度は別にして、絶縁素材のテフロンが粗悪な物を使用しているのが原因だと思います。
メーカーが12.4GHzまで使えると謳っているのなら、メーカーの実測データを見たくなります。
全体にVSWR値が大きいので、受信用ならともかく送信用に使ったらコネクター部分が発熱して煙が出るかも。
やはり高い周波数まで使おうとするのなら、VSWRが充分に低い製品を選ぶのが正解だと思います。
あえてこのコネクターを購入する場合は、12.4GHzまでの機器に使う電源ライン用( つまり直流ライン )とか
数百MHz台までの信号ラインに限って使うのが正解かも分かりません。
マイクロ波帯でまともな動作を期待したい場合は、しっかりしたメーカー製品を選びましょう!


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